Koji Murata, Professor, Doshisha University
同志社大学の村田晃嗣教授が安保法制施行後の防衛について会見し、記者の質問に答えた。
司会 恵村順一郎 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
http://www.jnpc.or.jp/activities/news…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
記者による会見リポート
議論するほどに問題点噴出
安保法制施行(3月29日)に伴い、4人の識者(賛成2、反対2)に別個に問題点を議論してもらった。
賛成派は、小野寺五典・元防衛相(3・28)と村田晃嗣・同志社大教授(4・5)。小野寺氏は集団的自衛権行使容認閣議決定時の担当相。中国艦船の領海侵犯や北朝鮮の核・ミサイル実験にどう対処したか、との自らの体験に触れ、従来法制の抜け穴を埋め日米連携を強化するためにはどうしても新法制が必要だったと強調した。
村田氏は、法制がなぜ世論や知識人に受け入れられなかったかとの観点から分析、①憲法学者による違憲論議が先行し、安保学者による抑止力強化議論との間で十分な相互作用がなかった②11法案を一括審議するなどプロセスに周到性が欠如③大学教員の8割が反対した背景には一連の大学改革に対する反発があった――との見立てを披露、他者に耳を傾ける「寛容」の精神が重要とした。
反対派は山崎拓・元自民党幹事長(3・29)、柳澤協二・元内閣官房副長官補(3・31)の顔ぶれ。
山崎氏は新法制の最大の問題は集団的自衛権容認より、むしろ後方支援(兵たん業務)を武器弾薬、ワールドワイドに広げた部分にあり、必ずや兵たん部門が狙われ死傷者が出ると指摘した。また、中国台頭には個別的自衛権と領海警備法で十分であり、軍事力ではなく国際世論を生かした外交活動が重要であるとした。
柳沢氏は自衛隊のアフガン、イラン派遣時の事務責任者。新法制が日本国民の命を守るというより日米の軍事的一体化、自衛隊の普通の軍隊化を進めるものだと強調した。安倍晋三首相が防衛大学卒業式で新法制での任務を「今まで同様危険なもの」と言及したことについて「訓練と実戦とは全く異なる」と批判、自らが臆病だとの陰口をたたかれていることについて「現場には勇猛果敢さが必要だが、最高指揮官ほど臆病であってほしい」と注文を付けた。
バランスを考え2対2にしたが、議論するほどに問題点が出てくる。廃止法案議論のサボタージュ、訓練先送りの姑息…。やはりおかしい。
(*このリポートはシリーズ企画「安保法施行と日本の防衛」①~④の統合版です)
企画委員 毎日新聞社専門編集委員
倉重 篤郎