文化庁の平成28年度文化芸術振興費補助金(文化遺産を活かした地域活性化事業)で、豊川市牛久保町内にある八幡社の祭礼「牛久保の若葉祭(うなごうじ祭)」で曳かれる下中組の大山車(おおやま)の修理を行いました。躯体部分の修理は前年度までに終了しており、平成28年度は大山車2層目以上の彩色や金箔押し、漆塗りや彫刻の復元などを行い、本来の勇壮な姿を取り戻し安全な曳航ができるようになったほか、文化財的価値の維持が図られました。
【下中組大山車修理の概要】
事業者:豊川市文化遺産活用実行委員会
事業期間:平成28(2016)年4月8日から平成29年3月31日
工事請負業者:株式会社匠工舎ほか
【牛久保の若葉祭(うなごうじ祭)について】
牛久保の若葉祭は、愛知県の無形民俗文化財に指定されていされている愛知県豊川市牛久保町の氏神・牛久保八幡社の例祭です。4月7.8日に近い土曜日に宵祭、日曜日に本祭が行われ、神輿や獅子頭などを伴った行列の中で、4つの組がダシと呼ばれる豪華な飾りがついた纏を先頭にそれぞれ特色ある祭礼風流を展開します。
上若組と下中組(西若組)は大山車と囃子車を出し、神児組(裏町)は神児舞、笹組(寺町)はヤンヨウガミを伴った笹踊りを行います。本事業で修理をした大山車では、懸装品として2層目の高欄に布団を飾り、「隠れ太鼓」が行われます。これは、稚児舞が独自に発達したものと伝えられ、唐子の衣装を身に着けた稚児が高欄から身を乗り出す危険な所作を人形のように演じるもので、祭りの見どころのひとつとなっています。
隠れ太鼓のほかにも若葉祭のなかでは様々な芸能などが行われ、見る人を楽しませます。また、東三河地方の祭礼風流の特色をよく残しており、この地域を代表する春祭りのひとつとなっています。