2017年8月3日、静岡市葵区人宿町に宇田川ベースカフェがオープンし、民間主導のまちづくりの第一歩がスタートした。カフェは女性や子供連れの母親をターゲットとし、店舗面積110㎡、客席数は32席を擁し、営業時間は午前9時30分から午後の2時まで。場所は、七間町通りの北側に位置する旧東海道が近くを通る「人宿町パラダイスビル」の2階で、この七間町エリアは、かつて多くの映画館が軒を連ねた娯楽の町でもあり静岡の中心的存在だった。近年では、静岡市上下水道局庁舎などの官公庁や高層マンションなどが建ち並び、一時は目立っていた空き店舗への入居も回復し、街が明るくなってきた。
このカフェがどのように民間主導のまちづくりに寄与するかを簡単に説明すると、宇田川ベースカフェは、ビルのオーナーからビルの一室を賃借している。カフェが営業するのは4時間30分なので、それ以外の時間帯を開業したい人などの第三者にシェアするというのが今回の特徴。例えば、店を開きたい、起業して出店したくても賃料の負担が重い、などの理由から開業に踏み切れない人でも、時間を細分化すればその賃料もその分支払えばよいということになるので開業しやすくなる。宇田川ベースカフェの宇田川代表によると、「七間町や人宿町といったかつての静岡の中心街を復活させると同時に、若者がこの静岡でチャレンジしたいという場をつくっていき、自ら店を持ち、ビルをシェアするということで空きビルの利用方法にイノベーションを起こしたい」とあった。行政主導のまちづくりでは公務員が店舗の運営に関与することができないので、どうしても補助金を出すということに留まってしまう。そこで民間企業がスポンサー的役割を果たすことで、新陳代謝あるまちづくりが期待される。このビジネスモデルは、ビルのオーナーとの信頼関係がなくては成り立たないことだ。今後、直営のカフェのほか、提携した一般企業の食堂やこども食堂、そのほか各種イベントにも貸し出す予定で、起業を考えてる若者たちにも声をかけていくようだ。