しながわのチ・カ・ラ 品川宿まちづくり25年の歩み

ナレーション  「再開発で高層ビルが建ち並ぶ、平成25年の品川駅周辺。昭和の終わり、人通りが少なくなっていた品川宿の商店街を活性化させようとする動きが起こった」

堀江さん  「全国のまちづくりの集りに行くと、何で東京で! そんなこと必要ないだろう!と言われるんですよね」

ナレーション  「品川宿は祭りが中心で動いている街」

大越さん  「品川っ子の気質が変わらなければ、多少街並が変わったとしても品川は品川で残る」
                 
ナレーション  「そんな品川っ子たちが明日の品川宿のためにと集ったのですが・・・船出から問題が山積み」

堀江さん  「大失敗のイベントで全部台風で流れちゃって、一緒にやった若い人たちがみんな怒られてばっかりいるわけです」

ナレーション  「しかし、なんとか踏ん張った結果、品川宿の商店街で少しずつ形になって見えてきたものもあります」

ナレーション  「こうした活動が平成25年、節目の年を迎えています」

ナレーション  「再開発される周辺地域を横目に、今でも昔の風情を残す品川宿。25年の歩みに迫ります」

ナレーション  「東海道の宿場をつなぐ25回目、絆のシンポジウムが、今年も開かれています。東海道第一の宿品川宿の街づくりのきっかけは、25年前滋賀県土山宿で開催された第1回大会だったのです」

堀江さん  「『宿場と東海道をキーワードにもう一度自分のまちを見直そうよ』という活動があって、品川宿の先輩が参加して、それがきっかけで活動が続いているのです」

小泉さん  「旧東街道の雰囲気を出しながら品川宿の商店が経済力をどうやってつけていくかという、非常に難しい問題にこれから立ち向かう必要がある」

ナレーション  「シンポジウムで刺激を受けた人たちが中心となって、直後の10月、品川宿周辺の商店街、全町会の参加を得て協議会が発足した」

堀江さん  「保土ヶ谷宿が当時(宿場を基本にした街づくり)活動が始まっていて、見学に行きましたね。後は丸2日かけて品川宿を皆で見たということが、スタートだった気がしますね」

ナレーション  「手探り状態の中、発足の翌年、2回目の東海道シンポジウムを品川宿での開催にこぎ着けた」

ナレーション  「さらに品川宿全体を巻き込んだ初のイベントを企画。パリ万国博覧会に出品し、行方不明となった品川寺の梵鐘。その後スイスのジュネーブで見つかり返還されたことから『洋行帰りの鐘』として知られている。その縁で贈られてきた800キロのチョコレートをヒントに、北と南の商店街が一致協力する、最終日の目玉企画を立てた」

篠原さん  「イベント最終日にチョコレートを砕いて皆に配ろうという話しになっていたんですよ。ところが前の晩から雨が降り出し、当日は嵐になっちゃったんですよ」

ナレーション  「大失敗と語り継がれるイベントでしたが・・・」

堀江さん  「ある若い人が『堀江さんこれは失敗じゃないよ。口もきいた事もない南北の商店街の人がこうやって皆集って話すようになったじゃないか』と。それ以降は隣りの街で何かイベントがある時は皆で手伝いに行ったり、基本の活動を先ず進めていこうとなった。あの失敗がなかったら今までこの活動が続いていたかどうか分かりませんね」

ナレーション  「翌年より『宿場まつり』を協議会の協賛で開催。江戸風俗行列に代表されるお馴染みの一大イベントとして、品川宿を盛り上げ続けています」

ナレーション  「品川寺の梵鐘がジュネーブから返還された60周年記念式典以降、協議会の活動は新たなステップを踏み出した。2代目会長に就いた堀江さんは、平成3年ジュネーブの商店街との友好協定を結び、交流の絆を深めて行った」

ナレーション  「友好を記念し名付けられたジュネーブ平和通り。堀江さんはその通り沿いにあるスーパーのオーナーです」

堀江さん  「結構品川ってこういう古い街が残っていることを知らない人が多いですよね」

堀江さん  「こんなにいい所に住んでいたということを再認識したということですかね」

ナレーション  「メンバーがあらためて自分の街の素晴らしさを実感したのが、延べ70人が参加した『まちの宝探しマップ』の作成の時でした。その発表イベントで大越さんは、『品川宿の財産は住む人の変わらぬ気質だ』と街再生のためのヒントを熱く語りました」

大越さん  「品川ってヘン、変な街。江戸とは違う誇りがあるようですね。『江戸じゃない品川』って言われるのが最高の喜びだと思っている人がいる」

ナレーション  「この頃から街づくり活動の目標が、おぼろげながら見えてきたようでした」

大越さん  「お祭りを続けられていける特殊な気質をもった人たちが住んでいられなければ、もう品川宿ではなくなってしまう」

ナレーション  「協議会の活動は徐々に本格化していきました。東海道が取り持つ縁で、浜松宿から贈られた松を植樹。その後次々に東海道の各宿場から贈られた街道松は、品川宿のシンボルとなっていきました」

ナレーション  「また品川宿を訪れる人のために『まち歩きマップ』を作成し、もてなしの道しるべとしました」

ナレーション  「平成7年、その後の活動の指針となっていくまちづくり計画書が作られた。そしてそのプランに盛り込まれた宿場の休憩所が先ず具体的な形を現した。平成9年、品川区と東京都の協力を得て、先ず青物横丁商店街の旧街道が石畳に整備された」

堀江さん  「街づくりの整備の一環として、車道の舗装を土のイメージにして土色のアスファルトにしているんですよね。八ッ山の東海道の入口から鈴ヶ森までは行きたいと思ってるんですけどね」

ナレーション  「東海道の宿駅制度が誕生して400年目を迎えた平成13年は、区内16町会の神輿が大集結。八ッ山口から鈴ヶ森までをパレード、10万人が参加して賑わった。協議会が主催したこの連合渡御がきっかけとなり、活動範囲をその後、鈴ヶ森に向けて延ばしていった」

ナレーション  「400年祭の翌年、協議会は勝島運河の花畑プロジェクトに参加。6年後、立会川駅前も石畳に整備された」

織戸さん  「あの400年祭の盛り上がりがきっかけですね、商店街がいくらか動き出したっていうのが。青物横丁界隈で石畳は終わりかなと思ったんですけど、堀江さんが『立会川まで必ず延ばすよ。一緒にやろうよね』ってことで取りかかりました」

ナレーション  「品川宿を越えて鈴ヶ森までを巻き込んだ協議会の活動。その後、品川区などの助成を受けた景観デザインの彩どりによって、新たな由緒ある宿場町の形を整えていった」

堀江さん  「昔の品川宿の形はもう作ってできるわけじゃないけど、この街こだわりをもっているなと思われるような本物の整備をしていこうという想いが、やはりありますね」

ナレーション  「堀江さんは鮫洲から鈴ヶ森までの旧東海道の石畳整備を最終目標に活動を続けています」

ナレーション  「平成21年、街づくり活動の新拠点をオープンさせた」

堀江さん  「ここに常駐スタッフがいて、訪れた人と交流を図れることが大きく変わりましたね」

ナレーション  「25年にわたる活動により、風情のある街並へと変貌を遂げている品川宿」

ナレーション  「夜9時、仕事を終えたメンバーが集り、毎月の定例会議が開かれています」

大越さん  「新しい街づくりの計画書を作りたいという話があるけれど、手順はどうするのか?」

ナレーション  「現在協議会では、次世代の街づくりに向けて、新たな計画書作りの準備に入っています」

堀江さん  「楽しい人生を送らせてもらった。こういう活動を続けられているのも品川の街の人たちの想いとか人情があってここまでこられたんで、それだけは大事にしていってもらいたいですね」

ナレーション  「いつまでも祭りを続けられることを願い、江戸ではない品川という確固たる気質の品川ッ子の街づくりへの取組みは、今後も末永く受け継がれていくことだろう」

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