日本一の数を誇る佐賀市のえびす像のガイドツアーなどに取り組む市民団体「恵比須DEまちづくりネットワーク」は9月から「さがの恵比須御朱印巡り」を始めた。女性を中心に人気が高い神社仏閣の御朱印集めの“えびす像バージョン”で、訪れた人に会員制交流サイト(SNS)のインスタグラムなどで情報発信してもらうことを期待している。同ネットワークの村井禮仁代表に一押しのえびす像を紹介してもらった。
同市川副町の海童神社の境内に足を運ぶと、カラフルな「まんぷく恵比須」が出迎えてくれた。ふくよかな体は濃紺で両手には真っ赤なタイを抱えている。有明海からもほど近く、村井代表によると「大漁を祈願している」という。台座に座って右足を垂らし、左足を右足のひざの上に組む「半跏(はんか)」の姿勢は安定感がある。
えびす像の参拝を終えると、社務所で御朱印帳に朱印を押してもらう。全国のえびす神社の総本山、西宮神社(兵庫県西宮市)の御朱印が付いた朱印帳(1200円)は「開運さが恵比須ステーション」(同市呉服元町)で販売している。持参の朱印帳でも参加することは可能だ。15カ所全てを巡った人にはえびす像が描かれた版画が贈られる。
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御朱印巡りの狙いは、市内各所に点在するえびす像に興味をもってもらうこと。御朱印帳の対象ではないが、村井代表がお気に入りのえびす像も訪ねてみた。
同市中央本町の石丸印判名刺店横の「ゆめこい恵比須」は右手に釣りざお、左手にはタイを手にした、えびす像の基本形。村井代表は「堂々とした姿が美しい。最高のスタイル」とうっとりとした表情で話した。
佐賀市材木1丁目の池田醤油(しょうゆ)醸造店横にはカップルに人気の「仲良し恵比須」がある。男女2体の像が寄り添うように並び、お互いの手を重ね合わせている。記者は「仲むつまじいな」と思ったが、村井代表は「妻が『魚をよこしんしゃい』と言っているようで、いつの世も女性の力は強い」と説明してくれた。
そこからすぐ近くの佐賀柳町郵便局前にたたずむのが「柳町そろばん恵比須」。膝の上のそろばんをはじく姿が愛らしく、商売繁盛を願っているという。
記者のお気に入りは同市伊勢町の佐賀伊勢郵便局前にある「踊り恵比須」。タイをつり上げた喜びで小躍りしている姿がかわいらしい。
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村井代表によると、市内には約830体のえびす像がある。いずれも表情が豊かで、笑顔もあれば、口元を引き締めた“クール”な像もある。体形もふっくらした姿から細身までさまざまだ。
柳町そろばん恵比須を始め、三味線を弾いていたり子どもを抱えていたりなど「特殊恵比須」が多いのも佐賀のえびす像の特徴だ。
えびす像と一緒に撮影した写真に「#saga_ebisu」や「#saga_city」のハッシュタグを付けてSNSサイトに投稿すれば、オリジナルグッズのプレゼントもある。
村井代表は「えびす像は一つとして同じ物がない。御朱印帳巡りをきっかけに佐賀の町の魅力を感じてもらいたい。撮影した画像はインターネットで拡散してください」と呼び掛けている。問い合わせは恵比須DEまちづくりネットワーク=0952(40)7137。
=2017/09/21付 西日本新聞朝刊=
【出典元】
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/360130/