テレビドラマ「スケバン刑事」や「ハイパーヨーヨー」の人気で1980~90年代にブームを巻き起こしたヨーヨー。このヨーヨーでの町おこしに数年前から取り組んでいるのが愛知県岩倉市だ。3月には市のオリジナルヨーヨーの試作品が完成。これまでに全国で1000万人以上が手にしたおもちゃで、市を聖地化しようと奮闘している。
名古屋駅から北に電車で約10分。同市は桜並木の名所「五条川」で知られるが、市から観光振興を委託されているNPO法人の金井透さん(56)は「桜の見頃を過ぎると、観光資源がなかった」と振り返る。3年ほど前、ヨーヨーの世界チャンピオンが市内に3人いる上、専門店もあることを知り、ヨーヨーを観光資源にと思い立った。これまで6回ほど講座を開き、7~77歳の市民が技を磨いた。
昨年から、地元産のヨーヨーの製作を目指すプロジェクトが始動。世界王者の助言を受け、地元企業と連携し、3月に試作品の第1号を完成させた。手頃な価格で耐久性があり、さまざまな難易度の技を習得できるよう工夫した。今年度中には発売予定という。
ヨーヨーは今も世界中で人気があり、「国際ヨーヨー連盟」には30カ国以上が加盟している。市内の専門店「リワインド」で働く元世界チャンピオンの城戸慎也さん(28)は「国内外から月1000個以上の注文がある」と話す。城戸さんは「ただのおもちゃではなく、オリジナルな技を通じた自己表現の手段となっている」と奥深さを語り、「いずれは岩倉のヨーヨーを地球の裏側まで伝えたい」と意気込む。
今後は小学校の課外授業への導入も働き掛ける予定で、金井さんは「短時間集中型で、オンとオフの切り替えを自然と身に付けられるヨーヨーは勉強にも役立つのでは」と期待している。(2017/09/24-15:01)