西伊豆で「潮かつお」製造最盛期 伝統食材で地域おこし

カネサ鰹節商店(賀茂郡西伊豆町)で現在、西伊豆伝統の保存食「潮(しお)かつお」の製造・出荷が最盛期を迎えている。

潮かつおの歴史は古く、西伊豆地方では平安京時代に税として納められていた文献もあるほど。同社の副代表で5代目になる芹沢安久さんは「かつお節の歴史も350年ほど。カツオを使った調味料としては最も古い種類だ」と話す。

西伊豆地域では、一本干しした潮かつおのことを「正月魚(=しょうがつよ)」と呼び、縁起物として重宝する風習がある。三が日は神棚に飾り、4日以降にあぶりや酢漬け、調味料として使う。その歴史的背景から、今年11月には西伊豆町の民俗文化財に指定されるなど、地域を代表する特産品の一つ。

芹沢さんは現在49歳。専門学校卒業後には地元で大工や漁師の手伝いをしながら、28歳のときに同店に就職。半世紀前までは同町にかつおぶしの生産を行う業種は複数あったが、大手企業の大量生産化の波に押され次々に店を畳んでいったのを目の当たりにしたという。

安久さんは「大手に生産量で勝つのではなく、オリジナリティーを生かしたブランドづくりを行い、地域の活性化を興したいと考えた。そのときに全国で生産されているかつおぶしではなく、この地域にしかない潮かつおの認知・ブランド化を考えた」と話す。

安久さんら生産関係者は、認知度の向上のため「西伊豆しおかつお研究会」を発足、潮かつおを使ったB級グルメを作りイベント出店を行った。

「潮かつおの塩辛いのは当時の減塩ブームには逆風。そのまま売るのではなく、風味と特徴を生かした商品の開発を行った」と安久さん。改良を重ねた結果、うどんとあわせた「潮かつおうどん」が誕生した。

2017年には「2017年東海・北陸B-1グランプリin富士」で最優秀賞を受賞し、現在は多くのテレビなどのメディアを通して西伊豆の名物としての認知度を上げていった。

10年前は地元の正月用の魚としての認知しかなかった潮かつお。当時の生産量は年間1000本ほど(約2トン~3トン)だったが、現在は関連商品なども増え、月産2~3トンと、約10倍の生産量となった。

認知の拡大を行う一方、地元小学生などの子どもたち向けに食育をテーマにした学習体験などを提供。現在は正月にしか見られないアイテムから、西伊豆町の名産品へ。近年は西伊豆の水産業者とコラボレーションし、一本釣りのカツオを使うなどして、品質のアップにも努めている。

芹沢さんは今後について「自身も50歳が近くなり、今後は高校生や小学生など、地域の若い人を取り込み、若い人が潮かつおを使い、全国の名産品を取り扱う人々とコミュニケーションをとってほしい。潮かつおというアイテムを使い、互いに地域の問題や成功事例を共有できる人たちが増えてくれれば」と話す。

【出展元】
伊豆経済新聞

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